本を読んだり、読まなかったり

444 メアリ・シェリー 『フランケンシュタイン』 森下弓子訳 創元推理文庫

そういやまだ読んでなかったのだ、これ。誰でもなんとなく筋を知っているけれど、実際に読んでみると実はかなり長いし込み入った筋である。意外だったのは、科学者ビクターが怪物を作ってしまう過程が全然具体的でないこと。それから死体を寄せ集めた身体に雷が落ちて動き出すと覚えていたけれど、雷じゃなくて特にきっかけもないのになんとなく目を開くようになっている。その後も怪物がなんとなく出て行ってしまう。怪物誕生の周辺があまりドラマチックでないのだった。

怪物は見知らぬ家の窓越しに言葉を習い、本も読めるようになる。なんと彼が感動したのはミルトンの『失楽園』。親のない彼が本を通して親について考えるということが興味深い(と、こないだ要約した論文に書いてあった。)

それから面白かったのがスイスやらイギリスやら北極やら、旅行ガイドみたいにいろんな土地の風景や人間が描かれていること。アイルランドは非常に野蛮に描かれている。イギリスが「正」ならアイルランドは「負」の土地だ。

この小説はいろんな文学理論の材料として好適なことでも有名。今度はその関係の本を読んでみるつもりだ。


追記:後書きを読むと、雷が落ちて命が生まれるというのは映画化されたときに使われたアイディアだとある。
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by tummycat | 2009-05-10 12:30