本を読んだり、読まなかったり

472 高田明典 『難解な本を読む技術』 光文社新書

「難解な本」といってもいろんなジャンルがあると思うのだが、この本で取り上げるのは著者の専門の人文系思想書である。ソシュール、デリダ、フーコー、ドゥールーズ、ラカン、スピノザ、ヴィトゲンシュタインなどなど。こういう本を素直に「難解な本」と呼ぶのがまず面白い。

著者はこれらには「開かれた本」「閉ざされた本」があり(「閉ざされた本」はその著書だけで論が完結しているもの。「開かれた本」は完結せず、読者がその世界を補いなら読まなければならない)、また「登山型」と「ハイキング型」がある(「登山型」は論を緻密に積み重ねていくもの。「ハイキング」は必ずしもそうなっておらず、考える楽しさを提供するもの)と指摘する。

「開いている本」の代表はフーコーで、結論や主張のようなものが明らかでないので、これを「閉じている本」だと思い込んで読むと誤解が生じるとのこと。

ハイキングといっても高度なものは、その著者に「さぁ、ここで景色を楽しめ!」と言われても体力のない読者は息が上がってしまってなかなか楽しめないということも多いとのこと。

難解な本を読みながらどうしてもわからないときはどうするか(寝かす、誰かにきく)、など具体的な方法が述べられている。ネット検索に頼らず、リアル書店に常に足を運べと説く。読書って身体を使った活動なんだなぁと思う。高田さんも身体をめいっぱい使って説明してくれる。他にも読書ノートのつけ方の実例とか、代表的な難解本著者の攻略法など、具体的な方法が書かれている。これらがどれだけ実際の役に立つかは微妙だが、こうやって難解本をがんばって読んでいる人がいるのだと知ることで励まされる。たとえばある系統の本を攻略するのに、仮に2ヶ月かけるとして、一日あたり平均して2時間読書にあてて、1冊にあてる時間を見積もると6冊読めることになって…みたいな話を聞くと、自分もがんばって勉強しなきゃぁという気分になる。

後半は様々な難解本について、著作を読む望ましい順序について書かれてあるので参考になりそう。(でもラカンの下りは難解さがあまりにすごくて思わず笑った…。)

がんばってる学部生や、がんばらなければいけない院生にお勧め。
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by tummycat | 2009-09-14 07:56