本を読んだり、読まなかったり

490  夏目漱石 『坑夫』 新潮文庫

ここの更新も久しぶりだ…。漱石のこの本、わたしにはものすごく面白くて、こりゃあ1回読むだけじゃなくて何度か読み直したいぞと文庫本を枕元に置いていたのだが、そのあたりから身辺が怒濤のように忙しくなり、それっきりになった。これは恋愛事件を引き起こして家出した世間知らずの若者が見ず知らずの男から「坑夫をやらないか」と誘われてそのままついていってしまう話。最後は実際に炭坑の深い穴の中にも入ってしまうのだが、これを読み終わってからわたし自身がロンブン書きの暗い穴の中にもぐってしまって、いまやっと外の世界に出たところで、すでに炭坑の穴の話を書く気力がなくなっているのだった。

思うに、ロンブン書きの穴も歩きやすいところ、面白いところ、苦しいところ、もう全て投げ出したくなるところなど、多彩であった。この主人公は最後に道に迷ったところで「安さん」という無口で頼りがいがある男に出会って外に出してもらえるのだが、わたしのロンブン書きも「キミ、いっぱい間違いがあるぞ!」と言ってくれた某先生がいて、英語もいろいろ直してもらって、それでかなり救われました。まったくこの世間知らずの若者同様にわたしも根性がなくて、ロンブン書きには到底向いてないなぁと思った次第である。ところで、その「安さん」って、わたし実はすごく好みのタイプなんですけど。『坑夫・続編』を安さんを主人公にして書いてもらいたい。
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by tummycat | 2009-12-10 08:30