本を読んだり、読まなかったり

500 姜 尚中、宮台真司  『挑発する知 ー愛国とナショナリズムを問う』  ちくま文庫

もう500冊めか。というよりやっと500冊だな。なかなか量を読めていません。ところで、この本は暮の大掃除のときにベッドの向こう側から埃まみれで発見された。いつ買ったんだっけ?

これは2003年に刊行されたもので情報はそれなりに古い。書店で行われた二人のトーク・セッションなので、話し言葉が非常に熱いのだが、宮台真司の方は熱すぎて「ほざく」とか「バカ」とか多用しており、それだけでもちょっとうんざりした。どちらかといえば宮台氏が中心で滑舌がよく、姜尚中は補足したり、抑え気味にコメントしたりという印象だった。

いま右傾化している若者は、伝統的な保守ではなくて、都市の中流階級のアノミー(=没価値)が原因で不安になっているためにカッコつきのナショナリストになっているのだという指摘があってわりと納得。(知人に急に右翼っぽくなってきている若い男性がいるのだけど、彼にもこの指摘はあてはまりそう。アノミーを埋め合わせるために国粋主義を求めているんだろうな。それに更にセクシュアリティの問題がからむとややこしいことになるのだろう。)

その他のメモ。

・国家を否定しない中間集団主義というのが社会学には伝統的にある。
・非暴力の社会はありえない。
・宮台は「国際的に自立するためには軍備を増強し、徴兵制を復活すべき」とさかんに言っている。そして軍備を増強する際には周辺の国への「あらゆる感情の手当」をしなければならないと言っている。(徴兵制が復活したらまず自分、あるいは自分の息子/娘を徴兵に応じさせてほしいものだ。また「感情の手当」とは何なのか彼は全く触れていないけど、中身を示してほしい。)
・専門家が言っている難しいことを大衆が理解できるように伝え直す「ミドルマン」が必要。宮台はミドルマンを兼ねている。
・自分の考えと反対の論調の新聞を読むようにしよう。
・終戦直後はGHQの肝いりで、国語の授業を「言語」と「文学」に分けていて、「言語」の授業ではメディア・リテラシーの教育もなされていた。GHQが解散して教科書検定が始まると「言語」の授業は廃止。当時、朝鮮戦争が起きていて、国民のメディアリテラシーが高まるといろいろまずいと判断された。またそんな教育ができる教員の数が少なかった。(へぇ、知らんかった。)
・日本の知性は劣化し、テクノロジー信仰を持ったエキスパートがたくさん出てきている。エキスパートは技術的に完全なシステムを作り提供するが、それを使う人間が不完全であることは気にしない。
・日本人はお祭り好き。ネット上でも祭りが起きている。祭りは政治的に利用されやすいということを認識すべき。
・99年に国旗国歌法、盗聴法などの法案が通過したが、それは「国家権力の横暴」ではなく、「国家権力の弱体化」なのだ。
・一神教か多神教かという差異よりも、二元論か脱二元論かという差異が重要。
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by tummycat | 2010-01-05 16:49