本を読んだり、読まなかったり

503 井伏鱒二 『川釣り』  岩波文庫

検査入院中に簡単に読める本をと思って、近所の本屋の棚をいろいろ見て選んだのがこれ。窓際のベッドで楽しく読んだ。釣りに関する随筆と並んで短編小説も入っている。釣り人としての腕は三流だし、人間的にも欠点が多々あるところがごく自然に文章に出ていて、そこがいい。まわりの釣り人が井伏にそれぞれ教訓めいたアドバイスをするのだが、その名言ぶりもいい。戦争中のシンガポールでの釣り、泊った宿が洪水に襲われる話、わさび泥棒、酔っぱらった若い釣り人2人に暴力をふるわれる話(白髪をたくさん抜かれる)などなど。

何の技巧もない(かのように感じられる)自然な文章が新鮮。でも釣りをしたことのない人が読んでどれほど面白く思うかは分からない。釣り自体について知識があった方がきっと確実に面白いだろう。

ところで、アマゾンでなく本屋で本を選ぶと、こういう思いがけないものを選べるところがいい。これからは本屋にもっと行くようにしよう。
[PR]
by tummycat | 2010-01-14 08:14