本を読んだり、読まなかったり

505 E.ショウォールター 『女性自身の文学』 川本静子他訳  みすず書房

この本が出たのが1977年。ギルバート&グーバーの_Madwoman in the Attic_ の方は1979年。『ジェイン・エア』の屋根裏の狂女は作者の分身であるという説はマッドウーマンがオリジナルだと思っていたけれど、こちらの方に先に書かれてあるのだ。その他、マッドウーマンと重なるところも多いが、違いはこちらの方はより文学が書かれた当時の社会状況との関係を詳しく論じているところ。たとえば、出版業界の事情や、性病の蔓延と女性の性行為恐怖や、女性の参政権運動など。マッドウーマンは19世紀に焦点を当てているが、こちらは現代のレッシングまで論じているので、つながりが理解しやすい。一方、マッドウーマンは伝記的な事実は豊富に取り入れるが、あとはどっぷりと作品自体を論じているので読み応えがある。しかし完全訳はないし、英語で読むにはなにせ量が多いので、手っ取り早く把握したい人にはこの本が便利そうだ。

個人的に興味があった点もいろいろ。たとえば1890年代になって急にそれまでよく書かれていた三巻本の長編小説が消滅したので、女性作家が短編でいろいろなスタイルを実験できるようになったことなど。(p164)
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by tummycat | 2010-01-18 12:39