本を読んだり、読まなかったり

579  岡田温司 『処女懐胎:描かれた「奇跡」と「聖家族」』 中公新書

前回読んだ『キリストの身体』が面白かったので、三部作のひとつらしいこの本も読んだ。『キリストの身体』ほど目新しい、興味深い話はなかった。面白いと思ったのは、キリストの父親(というか、マリアの夫)のヨゼフの描かれ方。婚約者マリアが唐突に妊娠してしまい、身に覚えのないヨゼフは悩んで彼女と密かに別れようとした。そのあたりの話を描いた絵で3は、キリストの誕生を皆が祝っている隅っこでヨゼフはひとり浮かない顔をしている。その顔つきが実に味わいがある。キリスト教の国で生きる非・キリスト教徒の白けた気持ちを表わしているみたいに思えて。もちろん、他のキャラクター同様、その後のヨゼフも社会情勢によっては「暖かい家庭のすぐれた養父」みたいに讃えられることにもなるのだ。

マリアの母、アンナについての章もある。このへんになるとキリスト教絵画の話もやや食傷気味になる。
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by tummycat | 2011-02-11 20:37