本を読んだり、読まなかったり

583  新井潤美 『へそ曲がりの大英帝国』 平凡社新書

子供時代をイギリスその他で過ごした人なので、学校生活を通じて感じたもろもろの話がこの人のウリである。しかしこの本を読むと、この人のイギリス体験ってけっきょく学校とテレビだけなのかなぁとも思えてくる。(たしかにドイツなどと比べてイギリス人はよくテレビドラマを見るようだけれど、ではイギリス人が特にテレビ好きなのだとしたらどうしてなんだろう。) もし日本に暮したイギリス人が、「わたしは日本の学校に長年通った、それから日本のテレビもたくさん見ている」とトリビアを並べて、「日本はこういう国だ」と言ってもそんなに感心されないんじゃないか。それ以外のこと、たとえばビジネスにおけるイギリス人のイギリスらしさとか、恋愛関係におけるイギリスらしさとか、消費生活におけるイギリスらしさとか、そういうものは書かれないのだ。ナマイキ言うようだけどイギリスを語る視界があまりに狭い。狭いのはいいとしても分析があんまり深くなく、それぞれの話題の紹介だけで終わっていて不満。『不機嫌なメアリ・ポピンズ』が面白かったので、ああいうのを期待したのだが。
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by tummycat | 2011-03-07 06:44