本を読んだり、読まなかったり

592 川上弘美 『センセイの鞄』 新潮文庫 

堂々の「居酒屋小説」である。街のよくある居酒屋の雑然として暖かくもはかない雰囲気がよく出ている。あとほんのちょっとだけでいいから料理について書いてくれてたら、わたしとしては言うことナシだな。

「わたし」とセンセイの出会いは同じ居酒屋で同じ肴3種をほぼ同時に注文し、「同じ好みだ」と思うところだ。恋愛において好みが合ってるというのはすごく大事である。政治的思想とか信仰とかよりもずっと大事だ。この二人はその好みがばっちり合ってるから年齢の違いは問題ではなかった。

とはいえ、わたしは年上好みじゃないので、老人と恋愛をすることはどうしても想像できない。センセイが巨人好きで、主人公とそのことで気まずくなったりするあたり、すごくカワイイと思うのだが、でもやっぱり恋愛はできないなぁ。まぁ人それぞれだからいいのだが。

センセイを置いて出奔した妻は相当変わった女のようだが、川上さんっぽくもある。きっと奥さんと主人公の両方が作者の分身なのだろう。

うちで料理した方が安くておいしくできるし、最近は地酒もいろいろ手に入るから、外に飲みに行く必要度は昔より低くなっているが、それでもやっぱり居酒屋はいい。自宅からそんなに遠くないところに行きつけの居酒屋があるというのは大きな幸福である。ああ、今から駅前のあの店に行きたくなったなぁ…!
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by tummycat | 2011-05-12 16:34