本を読んだり、読まなかったり

596 ウィリアム・トレヴァー 『アイルランド・ストーリーズ』 栩木伸明訳、国書刊行会

「国書刊行会」と書こうとしたら「酷暑刊行会」と変換された。もう夏である。ずいぶん更新していなかった。時間がないというより、気持ちの余裕がなくて、小説を読む気になれなかった。

そんなときには短編集。毎晩、ちょっとずつ、読んだり読まなかったり。初めてのウィリアム・トレヴァーは最初の1,2篇が辛口で、あまり好みじゃないかもと思ったが、真ん中あたりは甘めになって読みやすくなる。『秋の日射し』や『パラダイス・ラウンジ』がよかった。最後の『聖人たち』は、どうかなぁ。

多少ともアイルランドを勉強した者にとっては、歴史的な事件や人名がよく出て来るので、「あ、知ってる、知ってる」とそのたび嬉しくなるのだ。特に1916年からの「トラブルズ」の時代のことは。なんと独立時の英雄マイケル・コリンズまでちらりと登場している。カトリックもプロテスタントも含め、また紛争の北アイルランドや南のコークなど、普通の人たちの普通の生活がカバーされていると思う。外国人がアイルランドに対して持つロマンチックなイメージはここには全然ないし、もちろん妖精だって出て来ない。でも現代のアイルランドに興味がある人にはお勧め。アイルランドに特に興味のない小説好きにもお勧め。
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by tummycat | 2011-06-21 19:50