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本を読んだり、読まなかったり

688  赤木明登 赤木智子  『うちの食器棚』  新潮社

著者たちご夫婦が自宅で使っている食器をごっそり紹介するという、ちょっと変わった本。といっても、赤木明登さんは能登で漆の塗師をしている人だし、食器に関しては素人ではないのだ。ご夫婦が出会った1984年から2013年まで30年間に買い集め使ってきた食器の紹介である。

わたしは最近80年代に興味がある。この頃にいろんな社会変化が起きているからだ。80年代に起きた変化のコレクターになろうとしている。前回の『心理学化する社会』では、80年代には構内暴力がはびこり、また「自己臭」の悩みが増えたとのことだった。で、この本によると、80年代になって個人作家で生活食器を作る人があらわれはじめたのだそうだ。それ以前はオブジェ的なものだった。以来、ずっと現在まで多くの個人作家がふつうの食卓で使える普通の器を作りつづけている。流行ももちろんあって、たとえば2000年頃からは白い食器が風靡していく。これは今でもまだ続いているけれど。

というわけで、最近わたしも個人作家の器を買って使うようになっているので、興味深い情報がいろいろある本だったのだ。


(こちらのコーナー、学期中はなかなか更新できないなぁ。例年のことだけど。)
by tummycat | 2013-05-28 20:15