本を読んだり、読まなかったり

073 「猫と庄造と二人のおんな」 谷崎潤一郎著 (新潮文庫)

谷崎潤一郎なんて久しぶりだ。文章の感触と匂いがいい。日本ってこういう作家を生んだ国なんだ。こういう文章を生んだ国なんだ。

猫と飼い主の関係は恋愛に似ているとわたしが言ったら、「いや恋愛以上かも、溺れてしまうから」と言った猫好きの友人がいた。そういうあやうい関係を実にうまく描いている小説。特にお産をする直前の猫が不安気に庄造を見るあたりの凄みのある怪しい雰囲気は猫のお産を経験した者ならよーく分かるところだ。猫はある瞬間、人間になってしまうことがある。不思議な動物。
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by tummycat | 2003-12-20 00:00 | た行