本を読んだり、読まなかったり

094 「くるーりくるくる」 松山巌著 (幻戯書房)

エッセイなのに読み終わって写真集を見たような印象がある。あるいは小説のような。

まわりを高層ビルに囲まれて奇跡のように残っている東京の一角の長屋に住む男。彼が幼なじみに会ったり、飲みに行ったり、亡くなった家族を思い出しながらひとり旅をしたりする。そういう毎日をそのまま書いた文章。

人って、持って生まれた孤独癖はずっと治らないのだろう。自分が胸に抱えている孤独は死ぬまで消えないと自分でもよく分かっている。がらーんとしている心を見つめながら書くのは辛いだろう。ときおり彼のそばに現れる猫や人さえ、彼のうんと近くには近づけない。そういう人なんだなぁ。それはもう、しかたないのだ。
[PR]
by tummycat | 2004-03-18 00:00 | ま行