本を読んだり、読まなかったり

103 「ちいさな桃源郷」 池内紀編 (幻戯書房)

こういう風に作られた本があるのかと、ちょっと感心した。昔あった孤高の(?)山の雑誌「アルプ」から池内紀が選んだエッセイを集めたもの。有名な文筆家は少ししかおらず、大抵はあまり一般には知られていない山岳関係の人の素朴な文章ばかりだ。山に興味のない人間の眼にはふれることもないようなこういう文章が本として編まれた。

たとえば山の中の小さな村で生まれ育った人が書いた子供の頃の話。村のはずれからはずれまでが子供たちの世界だった。店が一軒もなくて、たまに来るのは富山の薬売りと朝鮮飴を売る朝鮮人の男。若い人たちはやがて黙って少しずつ都会に出て行く...。実際にはこういう村を知らないわたしでも、読んでいると村の風を感じられる気がするのはどうしてなんだろう。
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by tummycat | 2004-04-01 00:00 | あ行