本を読んだり、読まなかったり

106 「珍品堂主人」 井伏鱒二著 (中央公論社)


骨董好きの男が高級料亭の支配人となり奮闘するが失敗し、また骨董稼業に戻るという話。わたしも骨董(というよりはガラクタ)が好きで、一時はずいぶん熱心に買い集めたものだから、「骨董は女のよう」という気持ちも分かる。(不思議なもので自分は男じゃないけど、でも分かるのだ。) 文章は少しも気負いのない、自然な語り口調。まるで着物を本当に着なれた女性が、着物をぴったりじゃなくて少々くずして着ているような、そんな感じ。うまいということを感じさせないうまさ。

ところでこの本は図書館で予約して借りたものなのだが、予約の本棚から持ってこられた本を見て驚いた。とても古い本なのだ。印刷は昭和34年。「鱒二」の検印もある。こういう本を気前よく貸し出してくれるなんて、横浜図書館は太っ腹だ。
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by tummycat | 2004-04-16 00:00 | あ行