本を読んだり、読まなかったり

121 「骨董屋の非売品」  勝見充男著  (晶文社)

 とても素直な人だ。骨董屋なんて、癖の強い人じゃないかと構えながら読んだのだけれど、何よりもこの人の素直さに感心した。子供の頃に一生懸命に収集したガラクタたち。大人になって、好きな冷酒を飲むべく買った盃の話。そして、更には素朴な手彫りの仏像やふちの欠けた瓶や、「その中をのぞくと仙人がいて、その仙人は自分と同じ顔をしているのではないか」と想像する古い壺。どの話にも素直な気持ちがあふれていて、とてもいい。後書きの文章まで、いい。

 以前も書いたけれど、わたしは一時、古いものの収集に熱を上げていた時期があった。どうして古いもの(それも他人から見ればガラクタにしか見えないようなものにまで)夢中になるのだろうと、自分で不思議に思う。たぶん、この著者が言うように、骨董を買うということは時間を買うことなのだろう。それもただの空白の時間ではなく、そこで人が生き生きと生きていた、そういう時間を買っているのだと思う。
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by tummycat | 2004-06-15 00:00 | か行