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本を読んだり、読まなかったり

229 若林幹夫 「地図の想像力」 講談社メチエ

ゼミの論文用に読んだ本だけれど、たいへん面白かったのでこちらにも書いておく。
人間の欲望が地図を作らせたという歴史。そして従来の地図とは別の、
いわば心象地図と呼ぶべきものの例。また現実の土地が地図を模倣する話
なども印象的だった。

この本の冒頭ではある不思議な寓話が紹介されている。ある国の王が
地図師に命じてできるだけ正確な地図を作らせる。地図師はついに縮尺が1対1の地図を
作り、その地図は国土を完全に覆ってしまう。時がたち地図が朽ちはじめると
土地もまた地図を模倣するように衰えてしまう、というもの。
この話だけでも地図というものへの想像力がかきたてられるというものだ。
by tummycat | 2006-02-07 13:57 | やらわ行