本を読んだり、読まなかったり

143 「若い芸術家の肖像」  ジェイムス・ジョイス著 (新潮文庫)

ジョイスの小説は「ダブリン市民」しか読んだことがない。あとは絵本の「猫と悪魔」。それだけなのだけれど、「この人はわたしの好みだ」とはっきり分かる。相性とはそういうものだ。これは訳者が丸谷才一で、この人の名前を見ると「ああ、これは面白く読める」と期待がむくむくとわいてくる。案の定、楽しい訳だ。

 英文学的にはきっと注意すべき点が多い作品で、訳者は工夫をこらして仕事をしたのだろう。でもそんなことは素人の読者にはどうでもよくて、ただただアイルランドという異国に住む才能ある若者が、その国の若者特有の、あるいは世界共通の悩みを抱えながら成長していく過程を追っていけばいいのだと思う。
[PR]
by tummycat | 2004-11-06 00:00 | さ行