本を読んだり、読まなかったり

146 「学ぶこと、思うこと」  加藤周一著 (岩波ブックレット)

2002年に東大の自治会の新入生に対する講演をもとにしたもの。わかりやすく歯切れがよい。これ以上ないほどまっとうでまっすぐな考え方。こういうことをもう著者より若い世代では言う人がいなくなっているのじゃないか。

 日本の近代史が「なしくずし」の連続だったこと。特定の方向へ少しずつ変わっていくと人は油断してしまう。
 戦争責任について。戦争のときに生まれていなかったということは理由にはならない。過去と現在と未来はすべてつながっている。
 「みんなで渡れば怖くない」ではなく、「みんなで渡るから怖い」こと。本当に怖い問題が出てきたときこそ、全会一致ではなく少数意見が存在することが必要。などなど。

 ところで2004年に加藤が池澤直樹と対談したとき、イラク戦争について彼は「自分は政治的な話を好きでない。情報が不十分だからだ。ものを綿密に考える習慣と政治に関する発言は相容れない」という趣旨の発言をしているのだけど、この本での発言とずれがあるのが気になる。
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by tummycat | 2004-11-17 00:00 | か行