本を読んだり、読まなかったり

232 福田恆存 「私の幸福論」  ちくま文庫

ずいぶん昔に若い女性向けの雑誌に連載された人生論なのだけれど、
さすが福田恆存、骨があって真っ当だ。

自由について、教養について、恋愛について、結婚について。
著者がこれまでの人生を考えながら生きて、掴んだ真実だけが述べられている。

(「チャタレー夫人の恋人」の森番の話から)自分の位置を測定する能力、しかも、
たえず流動変化する諸関係のなかで適切に行動する能力、そのみごとさが
教養というものであります。(p78)

恋愛の幻滅は必ずしも恋愛の終結を意味するのではない。「もう愛してはいない」と
感じる男の意識と「まだ愛しているのに」と感じる女の意識と、その両者はただ
意識の面で相反しているだけで、無意識の底まで降りていったなら、大した差は
ないのではないか。(中略)恋愛は絶えず一緒にいたいという結合の感情と同時に
相手から離れ去りたいという分離の感情を含んでいる。(p163)

結婚制度についても「やっと最近になって一夫一妻制を信じる気になった」
と書いているが、彼が語るとなんて重く感じられること。
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by tummycat | 2006-02-14 15:10 | は行