本を読んだり、読まなかったり

155 「疲れすぎて眠れぬ夜のために」 内田樹著 (角川書店)

この人の本を読むのは「ためらいの倫理学」についで2冊目。この本は良くも悪くも著者の「私」が出ているようだ。わたしは「ためらいの倫理学」ほどのインパクトを感じなかった。ビジネスについてにしても、武道にしても、説得力がいまいちで平凡に感じた。

とはいえ印象に残る個所もいくつかある。戦後民主主義をささえたのは明治生まれで人間性の暗部を見た人たちだというところ。「ほんとうの自分」とは作り話であること。核家族は制度としてはもう終わりじゃないか、子供たちにとっては「いかにして家庭という危険な場所を無傷で逃れ去るか」が大事なことだということ。

偽造された共同的記憶の話が面白い。著者はビートルズが活動していた頃、学校の友だちに実際にアンケートを取ったのだが、その頃ビートルズを好きで聴いていた生徒は非常に少なかった。それなのに大人になって振り返ると、実際は殆ど聴いていなかった多くの人たちが自分たちをビートルズ世代と呼ぶのだそうだ。
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by tummycat | 2004-12-19 00:00 | あ行