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本を読んだり、読まなかったり

259 内田樹、小田嶋隆、平川克美、町山智浩 「9条どうでしょう」 毎日出版社

この本がめざしたのは「護憲・改憲の二種類の『原理主義』のいずれにも
回収されないような憲法論を書くこと」であるが、それはわりに成功しているんじゃないかしらん。
とはいえ、4人の著者はみな護憲の立場に立つ人たちだが。

4人それぞれのアプローチで議論を展開するが、ときどき意見が重なって
しまうところもある。そういうときに、比べてみて感心するのは
内田樹の圧倒的なレトリックだ。本人も前書きで書いているが、
「鉄格子の隙間を抜けることのできるもの」が彼の言葉だ。
言葉をまず檻の外に出し、出た言葉が鍵をはずす。その表現がぴったりあてはまる
文章になっている。

護憲のための議論ももちろん興味深いが、内田樹のレトリックを鑑賞するだけでも
読む価値があるかも。

追記:内田樹による「『9条どうでしょう』プレミアム試写会」はこちら。
http://blog.tatsuru.com/archives/001622.php
by tummycat | 2006-07-06 18:52 | あ行