本を読んだり、読まなかったり

270 中沢新一 「アースダイバー」 講談社

図書館の予約は数十人待ちだった。やっと順番が来たと思ったら試験の真っ最中。泣く泣く読まずに返した。また予約するのも悔しいからアマゾンの古本を買ったのである。付録に縄文地図もついてるし。

東京というひとつの地名でくくるのがナンセンスと思えるほど、東京のそれぞれの街は独特の雰囲気を持っている。この本は東京のそれぞれの街を縄文時代の地理を考えながら解読するという試み。この人が言っていることを鵜呑みに信用する必要はなくて、あくまで東京を題材にした物語を読むような感覚で楽しめばいいと思う。

縄文地図で海に接するところ、特に岬状になっている場所は死と密接な関係があり、そういう場所に神社やお寺や大学が建っているという話。渋谷、銀座、浅草などの成り立ちの話、面白い。

地下にあるエネルギーが地上に露出している場所が「崖下」で、そこでは金魚が飼育されていたそうだ。金魚は遺伝のメカニズムに起こった変異で、それを江戸時代の人は怪物として愛好したという。

明治以降の近代が縄文以来の自然な人の生き方を踏みにじっていることをいろんな場所で著者は感じている。この本が書かれたのはまだ女性天皇の可能性があった頃で、彼は「女性天皇の誕生をもって、明治天皇にはじまる近代天皇制は、終わりをむかえる。そのとき北方ツングース的な男系原理にかわって、南方的縄文的な双系原理が皇室の中によみがえり、都心の森にすんでいることが、文明開化や富国強兵や八紘一宇や経済大国などをみずから否定してのりこえていく、新しい「森の天皇」の生き方を象徴するものとなる」と、期待していたようだ。
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by tummycat | 2006-08-25 15:24 | な行