本を読んだり、読まなかったり

280 カズオ・イシグロ 「Neve Let Me Go (わたしを離さないで)」Faber and Faber

月1冊ずつ電車の中で英語の本を読むことにして、その2冊め。長かったので読了するのに時間がかかってしまった。特に前半がストーリーの大きな展開もなく単調だった。長くてかなわないと思いながら我慢して読んだ。しかし後半になり、やっと物語の設定が分かって、前半の丁寧で細やかな描写の意味が納得できる。主人公たちが施設を出てから後は読みながら胸が苦しくなるようで辛かった。

終わり近くの、束ねられた風船のシーンが切ない。あの手を離したら、風船はみなばらばらに飛んでいってしまうのだと主人公が静かに思うシーン。

これは一種の反ユートピア小説とも呼べるのだろうけれど、ふつうそのような小説で「恐怖」や「怒り」が主調になるのに対して、この小説では静かな無抵抗の悲しみだけが強く描かれていて、そのために却って舞台となっている未来社会の怖さを感じることになる。
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by tummycat | 2006-12-01 10:19 | あ行