本を読んだり、読まなかったり

288 長田弘 「散歩する精神」 岩波書店

去年の暮れに読んだ本。特にこの人の大ファンというのでもないのだけれど、読むとすっと心の中に新鮮な風が吹き込んでくるような人だ。これは本にまつわるエッセイをまとめたもの。

「いつもおもしろいとおもうのだが、物語にでてくる人物たちは、まずほとんど本を読まない」という出だしの文章。ほんとだねぇ。世の中で最も本を読まない人種は、それは物語の中で生きる人たちなのだ。このエッセイの結びは「本のなかの世界にもっとも親しく生きてきたのも、もともと本なんかちっとも読まない人たちだった。まったくの話、本を読む暇だってもない人びとの慌しい運命をたのしむことが、たっぷり暇をつくって本を読む苦いたのしみなのだ。」

そのとおり。わたしも本なんか投げ捨てて物語のなかに入ってしまいたいところだ。が、そうはいかない。きっと死ぬまで本を読んでいる。
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by tummycat | 2007-01-03 23:35 | あ行