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本を読んだり、読まなかったり

305 多和田葉子 「球形時間」 新潮社

夏に空き地の脇を歩いていると、人の背の高さほどに伸びた夏草が歩道に迫ってきて猛々しく感じられることがある。生命の強さは素晴らしいのだが、かなり鬱陶しいし、どこか怖いところもある。この小説に描かれる若い人たちもそんな感じだった。まるで特にその変わった言葉遣いと知識のなさから大人の目からは異星人のようにも見える高校生。でも彼らなりの生き方で生きているのだ。空き地から伸びた夏草のように鬱陶しくてかかわりにはなりたくないけれど。(子供を持っている人って大変だなぁ!)

「球形時間」は「休憩時間」の語呂合わせとどこかで聞いたけど、ひとりひとりが球形の世界を持っているということだろうか。あまりぴったりしない感じがした。

明治の日本の奥地を旅行した女性旅行家イザベラ・バートのことをこの本で初めて知った。
by tummycat | 2007-03-06 16:01 | た行