本を読んだり、読まなかったり

192 村上春樹 「海辺のカフカ」 新潮文庫

新刊はある程度時間が流れてからでないと読みたくない。「海辺のカフカ」も出てからしばらく
たってはいるが、まだまだあと数年は読みたくなかった。でも今回は旅行の前に本を
準備する時間があまりなくて、リゾート本らしいものがほしいと本屋に行き、ただ「海辺」の
言葉で買ってしまった。どんな内容か全然知らずに。

文学作品としての出来についてはよく分からないけれど、これは見事なぐらいに
臨床心理学的な小説だ。河合隼雄の強い影響を感じる。実際、彼を彷彿させる人物も
登場している。河合隼雄ならこの小説をあざやかに分析してしまいそうだ。
たとえば「昔話ではカラスは未来を予言する鳥です」とか。

ところでわたしにとってもこの小説は符丁のようなものを感じるところが多かった。
まずは舞台が自分が生まれ育った高松であること。イェイツの詩の言葉が出ること。
生霊のこと。マツダのクルマが出ること、そして、わたしがこれを読んだのはハワイの
マウイ島だったのだけど、なんとマウイ島という地名まで出てくるのだ。それ以外にも
小さい偶然がいくつか。不思議だった。

猫の惨殺シーンがあって、ちょうど自分の猫のことが気になっていたところだったから
その夜はひどい夢を見てしまった。まぁ、そんなこんなで、これはマウイ島で読んだ
忘れられない小説ということになりそう。
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by tummycat | 2005-09-08 07:45 | ま行