本を読んだり、読まなかったり

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689  岡原正幸  『感情資本主義に生まれて』  慶応義塾大学教養研究センター選書

とても良かった。「感情」というとすぐにぴんと来ないかもしれないけれど、現代のわたしたちの価値判断にたとえば「感じがいい」とか「がんばる人はえらい」とか、何気なく入り込んでいる考え方があって、それが感情管理である。まず現代はマクドナルド的な出来合いの感情が蔓延しているし、就活では人間を判断する基準にもなっているという現状の分析がある。

そして、日本人はみんなおんなじような考え方をするなんていうのはウソであって、感情管理の仕方や度合いは社会の階層によって違うのだという指摘があった。ドキリとした。たとえば「つまらない勉強でも我慢してやり終える」というのはある階層の感情管理なのだ。

こんな時代だが、より良く生きるための提案を著者はしている。みんなが同じように感じるのが「感情共同体」だとしたら、そうではなくて、ひとりひとりの感情を知るところから始まる「感情公共性」を推奨しているのだ。(この用語はイマイチ分かりにくいと思う)

「理解できない、共感できない、むしろそれを知ることこそ感情公共性の芯となり、感情現象の異化をもたらす核になるのである。もちろんそのことは、相手の感情を冷たく突き放すことなんかではない。逆である。いつでも、この私自身に、他者がその感情を差し向けていると切実に思うことだ。それは僕の経験からして非常に困難なことなのだが、それでも「立ち会うこと」の本来の姿なのである」

全然うまくまとめられなかったけど、読んで良かったと思う、お勧めの本です。
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by tummycat | 2013-06-02 20:04